災害時の備えというと、水・食料・トイレを思い浮かべる人が多いと思います。
もちろん、それらは最優先です。
首相官邸でも、飲料水は1人1日3Lを目安に3日分、非常食も3日分を備えることが推奨されています。大規模災害では1週間分の備蓄が望ましいともされています。
ただ、最近の在宅避難で見落とせないのが「電気」です。
停電すると、スマホの充電ができません。
夜の明かりも不安になります。
情報収集用のラジオ、Wi-Fiルーター、扇風機、電気毛布なども使えなくなる可能性があります。
そこで備えておきたいのが、防災用のポータブル電源です。
この記事では、家族3人が3日間、在宅避難する場合を想定して、どれくらいの容量のポータブル電源を選べばよいのかを考えていきます。
防災用ポータブル電源は「何Wh必要か」で考える
ポータブル電源を選ぶときにまず見るべきなのが、容量です。
容量は「Wh」という単位で表示されます。
ざっくり言うと、Whは「どれくらい電気をためておけるか」を表す数字です。
計算の基本はシンプルです。
消費電力W × 使用時間h = 必要な電力量Wh
たとえば、10WのLEDライトを5時間使うなら、
10W × 5時間 = 50Wh
となります。
ただし、実際には変換ロスがあります。
ポータブル電源に500Whと書かれていても、家電にそのまま500Whすべて使えるとは限りません。
そのため、防災用では少し余裕を持って考えることが大切です。
家族3人・3日間で最低限使いたい電気
まずは、災害時に最低限使いたいものを考えてみます。
家族3人で在宅避難する場合、優先度が高いのは次のようなものです。
- スマホ充電
- LEDランタン
- 携帯ラジオ
- モバイルWi-Fiルーター
- タブレットやノートPC
- 夏なら扇風機
- 冬なら電気毛布
もちろん、家庭によって必要なものは違います。
小さな子どもがいる家庭、ペットがいる家庭、持病がある人がいる家庭では、必要な電気も変わります。
ここでは、まず一般的な家庭を想定して考えます。
スマホ充電だけなら意外と少ない
スマホ1台を1回フル充電するのに必要な電力量は、ざっくり10〜20Wh程度です。
仮に1台あたり15Whとして、家族3人が1日1回充電すると、
15Wh × 3台 × 3日 = 135Wh
となります。
スマホ充電だけなら、そこまで大きな容量は必要ありません。
ただし、災害時のスマホはかなり重要です。
安否確認、ニュース確認、自治体情報、ライト、地図など、使う場面が多くなります。
そのため、スマホ充電分はかなり優先度が高いと考えたほうがよいです。
明かりと情報収集にも電気が必要
停電時に不安になるのが、夜の明かりです。
LEDランタンを5Wで1日6時間使うと、
5W × 6時間 × 3日 = 90Wh
になります。
さらに、携帯ラジオや小型スピーカー、モバイルWi-Fiルーターなどを使う場合も電気が必要です。
たとえばWi-Fiルーターを10Wで1日6時間使うなら、
10W × 6時間 × 3日 = 180Wh
になります。
スマホ、明かり、通信だけでも、3日間では数百Whは見ておきたいところです。
最低ラインは500Wh前後。ただし余裕は少ない
家族3人で3日間、最低限のスマホ充電・ライト・小型機器だけを使うなら、500Wh前後のポータブル電源でも候補になります。
ただし、500Whクラスはあくまで「最低限」に近いです。
実際には変換ロスがありますし、災害時は予定より長く停電することもあります。
また、家族のスマホ使用量が増えたり、ライトを長く使ったりすると、思ったより早く減ることもあります。
そのため、500Whは「軽く備える」容量。
安心感を重視するなら、もう少し大きめを考えたいところです。
家族3人なら1000Wh前後が現実的な目安
家族3人で3日間の在宅避難を考えるなら、個人的には1000Wh前後がかなり現実的な目安だと思います。
1000Whクラスなら、スマホ充電、LEDランタン、Wi-Fiルーター、小型扇風機、タブレットなどを組み合わせても、かなり使いやすくなります。
もちろん、冷蔵庫や電子レンジ、電気ケトルのような消費電力が大きい家電を長時間使うには、さらに大きな容量が必要です。
防災用として大事なのは、普段どおりの生活を完全に再現することではありません。
まずは、
- 連絡を取れる
- 情報を取れる
- 夜に明かりを確保できる
- 最低限の暑さ・寒さ対策ができる
この状態を作ることです。
冷蔵庫・電気毛布を使うなら1500Wh以上も候補
防災用ポータブル電源で迷いやすいのが、冷蔵庫や電気毛布を使いたい場合です。
冷蔵庫は機種や使い方によって消費電力が大きく変わります。
常に同じ電力を使うわけではありませんが、停電時に長時間使いたいなら容量に余裕が必要です。
また、冬の在宅避難では電気毛布を使いたくなることもあります。
仮に40Wの電気毛布を1日8時間、3日間使うと、
40W × 8時間 × 3日 = 960Wh
これだけで1000Wh近く使う計算になります。
家族3人分となると、さらに大きくなります。
つまり、冷蔵庫や電気毛布までしっかり使いたいなら、1000Whでは足りない可能性があります。
その場合は、1500Wh以上、場合によっては2000Whクラスも検討対象になります。
電子レンジ・電気ケトル・ドライヤーは要注意
防災用としてポータブル電源を買うときに注意したいのが、消費電力の大きい家電です。
たとえば、
- 電子レンジ
- 電気ケトル
- IH調理器
- ドライヤー
- 炊飯器
- ホットプレート
こうした家電は、短時間でも大きな電力を使います。
容量だけでなく、ポータブル電源の「定格出力」も確認する必要があります。
たとえば、1000Wの家電を使いたいなら、ポータブル電源側もそれに対応した出力が必要です。
防災用では、無理に大電力家電を使おうとするより、カセットコンロ、乾電池式ライト、モバイルバッテリーなどと組み合わせて考えるほうが現実的です。
ソーラーパネルがあると3日目以降に強い
3日間の備えを考えるなら、ポータブル電源本体だけでも十分役立ちます。
ただ、大規模災害では停電が長引くこともあります。
首相官邸でも、大規模災害では1週間分の備蓄が望ましいとされています。
その意味では、ソーラーパネル対応のポータブル電源を選ぶのも選択肢です。
天候に左右されるため、ソーラーパネルだけに頼るのは危険です。
ただ、晴れた日に少しでも充電できる手段があると、スマホやライト用の電力を延命しやすくなります。
安全性も必ず確認する
ポータブル電源は便利ですが、大きな電気をためる製品です。
経済産業省も、ポータブル電源には火災・感電などの一定のリスクがあるとして、安全性要求事項の検討を進めています。
購入時には、価格や容量だけでなく、以下も確認したいところです。
- 信頼できるメーカーか
- 保証やサポートがあるか
- バッテリー管理システムがあるか
- 過充電・過放電・短絡保護などがあるか
- 使用温度や保管方法が明記されているか
- 取扱説明書がわかりやすいか
防災用は「いざという時に使えること」が大事です。
安さだけで選ばず、安全性と保管のしやすさも見ておきたいです。
まとめ:家族3人で3日間なら、まずは1000Wh前後を基準に
家族3人で3日間の在宅避難を考えるなら、ポータブル電源は次のように考えると選びやすいです。
スマホ充電とライト中心なら、500Wh前後でも候補。
Wi-Fiや小型家電も使いたいなら、1000Wh前後が現実的。
冷蔵庫や電気毛布まで考えるなら、1500Wh以上も検討。
大事なのは、容量だけで決めないことです。
「何Whが人気か」ではなく、
自分の家族が、何を、何時間使いたいのか
から逆算するのが一番わかりやすいです。
とはいえ、家電ごとの消費電力を調べて、使用時間を入れて、合計して……というのは少し面倒です。
そこで、家電の組み合わせから必要なポータブル電源容量を考えやすくするために、カデ探を作りました。
家族3人で3日間、どの家電を使いたいのか。
スマホだけなのか、ライトも必要なのか。
冬に電気毛布を使うのか。
冷蔵庫も動かしたいのか。
そうした条件を入れながら、必要な容量の目安を考えることができます。
防災用ポータブル電源は、買って終わりではありません。
自分の家庭に必要な電気を一度見える化しておくことが、いざという時の安心につながります。
まずは、家族で「停電したら何を使いたいか」を書き出してみてください。
そのうえで、カデ探で必要容量を試算してみると、かなり現実的に選びやすくなるはずです。
カデ探:https://happa.tech/kadetan/
参考: 首相官邸 災害が起きる前にできること, 東京消防庁 非常用品として備えておくもの, 経済産業省 ポータブル電源の安全性要求事項
